敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

お店の前で、一応連絡を待ってみるもやっぱり返事がない。
着いたばかりとか、盛り上がってるとかで気付いてないのかもしれない。

待ってても仕方がないと、勇気を出してお店のドアを開き、おそるおそる中に足を踏み入れるけど、私はこういう場所に一人で来るのは苦手で、変に緊張してしまっていた。

ぼんやりとした間接照明に、それなりに広い空間にゆとりをもって配置されたテーブル席とカウンター。
落ち着いた雰囲気の店内は、一見してちょっと高級な感じで、私達みたいな騒がしいグループは居そうになく、明らかに間違えたような気がする。


「いらっしゃいませ。お待ち合わせですか?」

「あ、はい……、そうです……」


お店を間違えたことには気付いたけど、店員さんに話し掛けられるとすぐに間違えたとは答えられなくて、店内をそれとなく見回して待ち合わせっぽい雰囲気を醸し出そうとする私。

自分でも無駄な演技だとは思いつつも、間違えましたと素直に伝える勇気がないのだ。
こういうところは自分で嫌気がさすところでもある。

カウンタ-の中から私の様子を窺う店員さんの目を意識しながら、絶対いないと思いつつ店内へ目を向けるとテーブル席には女性3人組のグループが見えるだけ。

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