敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「……余裕なんか、ないけどな」
少しの間をおいて返ってきた返事が意外すぎて思わず顔を上げると、すぐ目の前には室長の整い過ぎた顔があって。
「っ……! ん……」
顔を上げた途端に重ねられた唇。
ちゅっと何度か軽く触れたかと思うと、するりと唇を割って舌が差し込まれ、口内をゆっくりと味わうかのように蠢いていく。
しっとりと唇が重なる瑞々しい音が気になってきたところに、室長の手がバスローブの合わせから入り込んできた。
「あっ……!」
「……ん?」
熱い手が素肌に触れ、その刺激で声が漏れたと同時に、室長が何かに気付いたように胸の膨らみを直に触ったまま手を止めた。
「何も着てないのか……?」
「だ、だって室長が着るなって……」
室長に言われた通り、バスローブの下には何も身に付けていない。
あんな風に言われたら期待に応えようと思うのも無理はない、と思うけど。
「いや、確かに言ったが……。正直言うとやらないと思ってた……」
驚きに目を見開いてそう呟く室長。
その姿を見て、真に受けてまんまと言われた通りにしてしまった事が急に恥ずかしくなり、顔に熱が集まっていく。
「わ、私、今すごく緊張してるんです……! だから、冗談で言ったのか本気なのか分からなかったんですよ……!」
これほどまでに余裕の無い自分に対し、室長が手慣れた様子でいることが何故だか無性に悔しい。
室長はさっき余裕なんかないって言ったけど、そんな風には全然見えない。