敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
ずっと無表情のイケメン上司と思ってきたのに、ひょんなことから婚約者になった。
オフィスでのクールな姿を思い出すと、昨夜の熱に浮かされているかのように激しく求めてきたあの姿が信じられない。
時折漏れる荒い息遣いや、切なげな苦悶の表情を浮かべた彼を知ってしまい、ますます心が惹かれてしまっている。
「……どっちもです」
「まあ、寝不足なのは俺のせいか。それに声が掠れてるのも俺のせいか?」
「っ……! そ、そうでしょうね……!」
俺のせい、と言われてすぐに昨夜のことが頭に浮かんでしまい頬がかあっと熱くなる。
恨みがましい目で室長をそっと見上げれば、勝ち誇った笑みを浮かべ満足そうに私を見下ろしている。
「ああ、そうだ。君にひとつ言っておきたいことがある」
「はい……、なんでしょう……?」
一夜を共にした翌朝に言っておきたいこととはなんだろう。
ああいう時はこうした方がいい、とかベッドの中での作法というか技というか、そういう系のアドバイス?
というかそもそも体の相性はよくないね、とか言われるのかも。
それはやだなあと思うも、きっと私じゃ物足りなかっただろうなあとも思ったり。
「最中に『室長』って呼ぶのはやめないか?」
「え……、あ……そういえば……」
すごく真剣な顔つきで何をいうのかと思いきや、戯れの最中での呼び方についてのご指摘で。
確かに何回も『室長』って呼んじゃったなあとは自覚してるけど、『薫さん』と呼ぶのも難しかったのだ。