敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「タイミング? そんなもので選んだ訳じゃない」
「じゃあ何……」
「可愛いから。君がいいと思ったから。これ、前も言ったよな? 信じてない?」
少し呆れたような声でそう言われ、同時に頬を撫でる指が止まる。
何回も同じような話の繰り返しだというのは自分でもよくわかっているから、室長が呆れたのかも、と不安になって彼を見上げようとしたけれど。
「ひゃっ……!」
突然がばっと覆い被され、両手をそれぞれ重ねられて縫い付けられたかのように身動きができない。
室長は間髪入れずにシーツがずれて露わになった胸に唇を落としてくる。
「ちょ、ちょっと待ってしつちょ……」
「そう呼ぶのやめろって言っただろ」
「あっ……、や、待って……か、薫さん……!」
手は抑えられているのでされるがままで、室長の髪が胸元をくすぐるのも快感に変わりそうな中、やっとのことで名前で呼べた。
すると室長は顔を上げて私へ目を向ける。
「やっと呼んだな。ていうか最中にそれ言われたらたまんないな」
そう言って満足そうに笑う彼はきっと、その笑顔が私を虜にしていることには気づいていないのだろう。