敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「11時に迎えに来るってさ。俺は先に帰るから君はゆっくりしてくるといい」
「でも……」
「いい機会だから高いスーツたくさん買ってもらえよ」
ははっと軽く笑ってそう言う室長に感じる違和感。
なんで? 私って室長の婚約者になったんじゃないのかな。
常務からの誘いは昨日の会食が切り上げになってしまったことや私のスーツのことで気を使ってくれての申し出だと思うからビジネスの延長のようなものかもしれない。
だけど、ちょっとは気にしてくれてもいいのに、と思う。
さっきヤキモチかも、と思ったのはやっぱり気のせいか。思い上がらなくてよかった。
「……室長は気にならないんですか? 私と常務が二人で会う、とか」
「別に。見知らぬ男じゃないし、慎太郎くんはいい男だよ」
室長はさらっとそう言うと、シャワーを浴びると言ってバスルームへ行ってしまった。
違和感が何だか強くなった気がする。
室長の答えが他人行儀で、自分の婚約者に関する話なのにそうじゃないみたいな。
でも、常務と会うのはビジネスの延長だし。
私が気にしすぎなのかな。
昨夜はたくさん触れてくれたし、可愛いって何回も言ってくれたし。
ただ、『好き』とは言ってはくれなかったけれど。