敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~


「この歳でこんなこと言うの恥ずかしいんですが、女性の服を一緒に選ぶの、初めてなんですよ」

「そうなんですか?」

「はい。ですのでもしも神田さんが、どっちにしたらいい? なんて選択に迷われても僕が役に立てるかどうか怪しいんですよね」


ははっ、と白い歯を覗かせて爽やかに笑う常務。

こんな人が本当に女性の扱いに慣れていないというなら、会長もおっしゃっていたように本当に真面目で仕事一筋なんだろう。

彼が付き合うと決めた人は、きっと一途に想われて幸せになれるんだろうな。


「あ、着きましたね。ブランド物もいいかと思ったんですが、僕の家は代々こちらでお世話になってるんです。質は間違いないので、と思ったんですが……」


車が止まったお店は、人通りの多いいわゆるメインストリート沿いにあった。
大きなショーウインドーにはスーツの他、パーティ向けのドレスを着たマネキンもいる。

代々お世話になっていて、ブランド物ではない、ということはオーダーメイドということなんだろうか。

何とも高級感溢れるシックなアイボリーの壁面に覆われた外観、様々な彫刻が施された柱に囲われたアンティーク調の扉は、一見の客にはハードルが高いだろう。

車を降りると常務はなんの躊躇もなく扉に手を掛け、後ろにいる私の方へ振り返り「どうぞ」と言ってにっこりと微笑み私を招き入れる。
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