敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「神田さん、そうおっしゃらずせめてあと1点選んでいただけませんか? 今日、無理矢理誘ってしまったお詫びです」

「お詫びだなんて……」

「それに、僕に女性との買い物は楽しいと教えていただいたお礼も兼ねて」


そう言ってものすごく申し訳なさそうな低姿勢で、にこっと汚れのない笑みを向けられると断りきるのは難しい。

本当にこの人はこの純な笑顔が武器になる人なのだ。


「どれもこれもとても似合ってて、目が癒されましたよ。ありがとうございます」

「そ、そんなお礼なんてとんでもないです……!」


いったいどこまでこの人はこの柔らかな物腰と笑顔で相手を懐柔するのだろうと感心してしまう。

こんな風に手放しで褒めちぎられたらいい気分にしかならない。

結局、1着だけと強い気持ちで臨んだにも関わらず私の決意はあっさりと折られてしまい、2着プレゼントされることになってしまった。


「あの、本当にありがとうございました。結局2着も選んでしまって……」

「いえいえ、僕が無理にお願いしたんですから。神田さんの1着だけ、という控え目な態度にかえって感服しましたよ」


納期の確認などが終わるまで常務と二人、奥の応接室へと案内されてお茶を出されていた。

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