敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

テーブルを挟んで真向かいに座る常務は優雅に紅茶のカップに口をつけているけど、そんな姿でさえも絵になるというか。

なんか、育ちが違うな、と圧倒されてしまう。


「実を言うと、僕は神田さんに興味があったので、こんな機会をいただけて正直ついてる、と思いました」

「え?」

「いや、スーツの件は突発的で、本当に申し訳ないと思っていますが、僕はあの藤堂さんが女性を連れてくると聞いてから、一体どんな方を連れてくるんだろうと思っていたんです」

「そ、そうなんですか? すみません、私なんかで」

「いえ、想像以上でしたよ。素直で、可愛らしくて」


今の言葉にお世辞や嘘なんて一片もないとでも言うような清々しい笑顔でそう話す常務。

ずっと褒めちぎられていたせいか、私は小さく首を振って否定するぐらいのリアクションしかとれなかった。


「僕は姉が3人いまして、どうも強めに接してくる女性は苦手というか」

「ああ……」


お姉さんが3人、と聞いてなぜかものすごく納得できてしまい、つい素の反応をしてしまった。

しまった、と思うも常務は苦笑いしているけれど気を悪くしている様子はない。
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