敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「お客様、テーブル席にどうぞ」
「あっ!いえ、ここで……カウンターでお願いします」
店員さんはテーブルを、と言ってくれたけどテーブル席はカウンタ-との間に何も障害がないので丸見えになってしまう。
まだカウンター席なら間に二人いるし見つからずに済むはずだ。
それにしても社長と室長のせいですっかり狂ったイケメンフィルターが発動したんだから、狂わせた本人だとさっさと気付けばいいのに、気付きもしないで見惚れてしまった。
すごいわ、さすが室長。
「よろしければ何かお作りしますか?」
「えっ、あ、じゃあ……キツくないものでおすすめとかありますか?」
とても人の良さそうな店員さんがオーダーを聞きに来てくれたけど、私はあんまりお酒には詳しくない。
みんなと飲む時は誰かと同じものを頼んだり、無難なものを選ぶんだけど。
私以外のお客さんは落ち着いた雰囲気の人ばかりで、浮かないようにこういう場に慣れてます、風を装いたくなってしまった。