敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

元々は私が秘密を知ってしまったから。
そして社長が、秘密が漏れることで社長でいられなくなったら私も秘書でいられるかわからないから、と確かに成り行きではあったけど。

でもその後は、室長との距離が近づいて、みんなが知らない室長を知って、私は好きになってしまったのに。

室長には、そんな想いは生まれなかった、ということか。


「それに君には悪いけど、体の相性も良くなかったから」

「え……」

「ごめん、もしかして俺も満足してると思ってた?」

「っ……」


どこか憐れむような表情を浮かべて投げられた言葉に、鋭い痛みが胸に走る。

ここまで、どこか自分の話じゃないような、そんな気がしてたけど。


「君には悪いけど、俺は君じゃなくてもいいんだ。だから君は慎太郎くんと結婚して玉の輿に乗ればいい」


聞くのが怖かった決定的な言葉に、みぞおちの辺りが軋むような痛みを感じ、なにも返せない。

だんだんと目の奥が熱くなり、堪えても視界がぼやけてくる。

ここで泣いたら本格的に面倒な女だと思われるから絶対泣きたくないのに。

どうやっても堪えられそうにない。
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