敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~


つい勢いでここに座ってしまったけど、なんだか室長のプライベートに触れている気がしてそわそわするのに、ドキドキもするという妙な心境だ。

室長のプライベートは本当に謎だったから、好奇心もあってこの状況になっているけど、この後はどうしよう。

ぱっと見た感じでは誰かと待ち合わせでも無さそうだ。
お任せしてしまった仕事のお礼もした方がいいのか、それともプライベートなのだから話し掛けない方が正解なのか。

間に座る紳士二人の影に隠れつつも極上のカクテルを口にすると、こんな素敵な空間に自分が存在出来てることに酔いそうになるほど心地いい。
できたらこのままもう少しここにいたいけど。

室長は何か物思いに耽っているのか、淡々とグラスを傾け、店員さんとたまに会話を交わしている。

それを見て、やっぱりこんな風にこそこそ観察するのはよくないと思い、この一杯を飲み干したら邪魔せず帰ろうと決めた、そんな時。

テーブル席にいた女性グループの内の一人が、グラスを手に室長の隣へ座った。

ぼんやりとした照明のせいではっきりとは見えないけれど、白い肌に乗せられた赤い口紅がその女性を引き立てている。

もしかして室長と関係のある人なのかも、と興味津々で眺めているけど、どうやら初対面らしく初めのうちはよそよそしい雰囲気だったけど。
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