敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「あの、もしかして室長が私が追い出されないように何か言ってくださった……、ということですか?」
「ふ、当たりだ。いいね、勘が鋭い」
「で、でもどうしてそんなこと……」
「どうしてって……、面白そうだと思って。君は同期の飲み会だったはずで、あの時間だと恐らく二次会の場所を間違えたんだと思った。君は入ってすぐにはっとした顔をしていたからね」
そう言って室長は意地悪な笑みを見せ、その時の様子を思い出したのかお店の入り口の辺りへ目を向ける。
「そ、そこまでわかってるのに知らんぷりしてたんですか?」
「待ち合わせを装う君が可愛かったんだ。素直に間違えました、って恥ずかしくて言えないんだろうけど、だからってそんな演技するなんて面白いなと」
「なっ……!」
これは本当に室長なんだろうか。
つまりは面白いからからかってみたってことで。
それに可愛いっていうのも絶対本気で思ってない。
「ひ、ひどいです!性格悪すぎます……!」
「はは、そのセリフよく言われるな」
「っ……」
よく言われるな、じゃないよ!と思ったけど、室長は本当はこういう性格の人だった、それだけだ。
普段の寡黙で紳士的な室長がプライベートでもそうだと勝手に思っていたのは私の方で、本当は性格が悪かろうと仕事上でそれを出さないなら問題ない。
というか気付きもしなかったぐらいなんだから問題あるわけがない。