俺がきみの一番になる。

時々山から吹いてくる風が涼しくて気持ちいい。葉のこすれる音に、大きなセミの鳴き声。夏の匂いがする。

それに──。

「本田君! 太陽が目の高さにあるよ! こんなの、初めて!」

あまりにも絶景すぎて、ついテンションが上がる。とってもすごい奇跡の瞬間を見ているみたいだよ。

「ほんとにすごいね! 本田君の言う通り、たしかに癒される気持ちがわかるかも」

高いところにきただけで、空気が澄んでいるような気がして心が洗われる気がする。

よっぽど子どもみたいな顔をしていたんだろう。隣で本田君がクスッと笑った。

「俺のお気に入りの場所なんだ。あんまり人に知られたくないから、他の奴には秘密な」

「うん、誰にも言わないよ」

二人でしばらくそこから景色を眺めた。徐々に日が傾いてきて、太陽が沈み始める。

辺り一面オレンジ色に染まって、隣に立つ本田君までもが煌々と輝いている。夕方から夜に変わるこの雰囲気が、とても好き。

「あのさ」

「うん?」

遠慮がちに口を開いた本田君に首を傾げる。

「柳内さんは、まだあいつのことが好きなの?」

「え?」

あいつって……。

太陽のこと……だよね?

「それ、は……」

なんだか言いにくくて言葉に詰まる。

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