俺がきみの一番になる。
ヘラッと笑ってそんなふうに言う私を許さなくていい。どうかこのまま平穏でいさせて。
「俺はもう、友達としてじゃ満足できねーんだけど」
不意に腕を掴まれ、引き寄せられた。
「ちょっ、本田君っ」
「好きだ……柳内さんのことが」
「……っ」
「どうしようもないくらい……好きなんだよ」
やめて、そんなに切なげな声で言わないで。耳にかかる吐息に、心が、体が熱くなる。かき乱されて、尋常じゃないくらいドキドキする。
目をギュッととじた。そうすれば、逃げられる。
「好きになってよ……俺のこと」
「……っ」
頭の中がパニック状態でなにも言えずに、ただじっと本田君の腕の中にいた。キツく私の体を抱きしめるしなやかな腕。体が密着しすぎていて、恥ずかしすぎる。
──ドキンドキン
──ドキンドキン
どう言えばいいっていうの。
「あ、やべっ。最終のバスだ!」
バス停にバスが停車する音が聞こえて、やっと本田君の体が離れた。
「ごめん、走るぞ」
戸惑っているうちに、今度は本田君は私の手を握って走り出した。そしてバス停へと向かう。バスの運転手さんが私たちに気づいて待っていてくれたのはいいけれど、ほんの数メートル走っただけでいっぱいいっぱいになってしまった。