俺がきみの一番になる。
バスには乗客は一人もおらず、二人掛けの席に座った私たちの間に気まずい沈黙が流れる。
「あの……手を離してくれないかな?」
「…………」
「本田君?」
「無理」
さり気なく離そうとすると、さらにキツく握られた。
「あ、あの……」
ドキドキするから、一刻も早く離れたいんだってば。それなのに本田君は前を向いたまま、私の手を離そうとはしなかった。
無表情で、なにを考えているのかわからない。
バスが駅に着く頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。バスを降りて駅のそばのコンビニに入る。それまで本田君との間に会話はなかった。
なんとなく気まずい空気が流れているけど、私にはどうしようもない。
喉が渇いたから、とりあえず冷たい物が飲みたい。
「亜子、飲み物を見てくるね」
そう言って手を離そうとした。だけどやっぱり、本田君は離してくれなかった。
「俺も行く」
そう言われて、一緒に飲み物のコーナーへ。
そこには高校生くらいの男女が数人いて、飲み物を選んでいるようだった。
同じ高校の人かな?
なんとなく見たことがあるような……。
「亜子?」
その中の一人と目が合った。
「た、太陽……」