俺がきみの一番になる。
なんでこんなところで会っちゃうんだろう。
「なにしてんだよ、こんなところで」
太陽は目を細めて笑う。そして、すぐに隣にいる本田君に気がついた。
「あ、もしかしてデート? 野球部の本田だっけ?」
興味津々で本田君の顔をまじまじと見つめる太陽。
「や、やだ、デートなんかじゃないよ」
「えー、照れんなってー。手まで繋いでるくせに」
「それはっ」
見られた、太陽に。こんな場面を元彼に見られるのって、なんとなく気まずい。だから、さり気なく本田君の手を振り払った。
今度は簡単に離れたのでホッとする。
「よかったな、今度は幸せになれよ。本田、こいつのこと、よろしく頼むわ。亜子といるとちょっと疲れることもあるけど、基本的にはいい奴だから」
太陽は私を見たあとに本田君に笑いかけた。サラッと失礼なことを言われたような気がして、チクッと胸が痛んだけれど。
私はお得意の愛想笑いを浮かべる。
『疲れる』
そう言われると、未だに響いてくるものがある。っていうか、本田君にもそう思われていたら嫌だな。
「柳内さんといて、疲れたなんて思ったことないけど? つーか、なんでそんな上から目線なわけ? それに、柳内さんを傷つけといて、よくそんなことが言えるよな。ヘラヘラされると、すっげー気分悪いわ」
ムッとしながら言い返す本田君の周りには、ダークなオーラが漂っている。
「なんだよ、怒るなよー。べつに俺は、そんなつもりで言ったんじゃねーし。そりゃ、傷つけて悪かったとは思ってるよ」
困り果てたように笑う太陽と真顔の本田君。
二人の間に挟まれて、縮こまる私。
頭の中に繰り返される言葉。
『柳内さんといて、疲れたなんて思ったことないけど?』