俺がきみの一番になる。

しばらくとりとめのない会話をしてから、ダラダラ宿題を始める。わからなくて行き詰まっていると、意外にも高木君が教えてくれた。

っていうか、勉強ができるんだ?

さらには教え方がすごく上手で、とてもわかりやすかった。

「俺ってば、なにげに学年十位だから」

「え、なにそれ。詐欺じゃん!」

チャラチャラしてるのに、人って見かけによらないんだ。

「詐欺って……言いかたー! マジで俺の扱い雑だよな。ま、草太は学年五位だから敵わないけど」

「えっ? そうなの?」

「そうだよ。それなのに、あいつは授業中にスマホ見たり漫画読んだりしてんだよ。野球バカのあいつが俺より頭いいとか、許せねー」

「下から数えたほうが早い亜子より、よっぽどいいじゃん。すごいよ、高木君! それに、教えかたも上手なんだから、自信持って」

「うはっ、ちょっと元気出たわ。あ、そうだ。俺、このあと草太んち行くんだけど、亜子ちゃんも一緒にくる?」

「ほ、本田君の家? いやいや、亜子はいいよ」

「なんか予定あんの?」

「ない、けど」

「亜子ちゃんがきたら、絶対喜ぶから」

乗せられてその気になる私は、自分でも単純だなって思う。

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