俺がきみの一番になる。

でも、なによりも私が本田君に会いたかった。

それがなぜなのかは、わからないけど。

「こ、ここが本田君の家?」

す、すごい。

駅のすぐ近くの高級マンション。繁華街からもすごく近くて、ファミレスからもすぐだった。

一番上が見えないほど高い建物は、この辺では一番大きくて高級なマンションだ。

勝手なイメージで、もっと普通の日本家屋を想像してたよ。

「草太の父ちゃんは草野球の監督で、すっげー普通のオヤジなんだけど。母ちゃんが医者で、そのじいちゃんばあちゃんがこの辺のマンションの所有者で、ちなみにここもそうなんだよ。だから、ああ見えてあいつはかなりの坊ちゃんなんだよな」

「へぇ、すごいね」

知らなかった、こんなところに住んでいたなんて。

ううん、今まで知ろうとしていなかった。まだまだ、本田君のことは知らないことのほうが多い。

マンションのエントランスにはコンシェルジュがいて、大理石の床に天井にはシャンデリアが吊るしてあった。

場違いなところに来たような気がして、ものすごく気が引ける。

「や、やっぱり、帰ろうかな」

だって、なんだか別世界に来たみたいなんだもん。

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