俺がきみの一番になる。
次の日、校門をくぐると、靴箱まであと少しというところで自然と足が止まった。
朝の登校時間のゴールデンタイムで玄関はとても騒がしい。その中で見つけてしまった本田君の姿。昨日は野球部のユニフォームだったけど、今日は見慣れた制服だ。
うちの学校は男子は学ランで、女子は紺のブレザーと青のタータンチェックのスカート。そして胸元にはワインレッドのネクタイ。
入学してから知ったけど、女子の制服がかわいくて、それ目当てで入学してくる人も少なくないんだって。
「草太ー、はよーっす!」
「おう、おはよ」
「本田君、おはよう」
次々とやって来たクラスメイトが本田君に声をかけるのをぼんやり見つめる。
本田君は笑顔でみんなに挨拶を返していた。クラスでも人気があって男女問わず慕われている本田君。友達も多くて、他のクラスの人とも仲良くしている姿をよく見かける。
背が高くてスタイルもいいし、その上イケメン。噂によると、すごくモテるらしい。
「柳内さん、おはよう」
距離があるのに本田君は立ち止まっている私のほうを見て、にっこり笑った。
「あ、お、おはよう」
まさかそうくるとは思ってなかった私は、焦って声が裏返った。