俺がきみの一番になる。

オートロックなことに感動しつつ、恐る恐る高木君のあとをついて中に入る。玄関でしばらく待っていると、奥からパタパタとスリッパの音を鳴らしながら本田君のお母さんらしき人がやってきた。

「あら、いらっしゃい。どうぞどうぞ、上がってちょうだい」

本田君のお母さんは本田君にすごくよく似ていて、特にクリクリの目がそっくりだった。気品漂う清潔感と、スッと伸びた背筋。笑顔がとても素敵で、優しそうなお母さん。

「お邪魔しまーす。あ、この子は亜子ちゃんって言って、草太や俺の友達」

「柳内亜子と言います。今日は突然きてしまって、すみません」

小さくペコッと頭を下げた。

「あらー! あらあら? 拓也君の彼女? こんにちは」

「ちがうよ、おばさん。そんなこと言ったら草太が怒るから」

「あらまぁ、そうなの?」

「草太が大事にしてる子なんで」

「ちょ、高木君! へんなこと言わないでー」

しかも、相手は本田君のお母さんだよ?

やめてよー。

「うちの草太をよろしくね、亜子ちゃん。いつでも遊びに来てくれていいからね」

本田君のお母さんは、突然きた私に対しても笑顔を見せてくれた。

「あ、ありがとうございます」

再びペコッと頭を下げる。

「草太ね、今お風呂なのよ。すぐに出てくると思うから、適当に部屋でくつろいでてちょうだいね」

「はーい、そのつもりです」

慣れたように家に上がってまるで自分の家のように歩いて行く高木君。

「お邪魔します」と挨拶をしてから、出されたスリッパを履いてお邪魔した。

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