俺がきみの一番になる。
うつむきながら発した声は、ちゃんと草太の耳に届いたらしい。
そしてなんのことを言っているのか、すぐに気づいたようだ。
ハッと息を呑んだのがわかった。緊張感が伝わってきて、私にまで伝染する。
「前にも言ったけど。俺、期待するよ?」
「……っ」
うっ。
そんなことをサラッとまた。
まっすぐな眼差しにドキドキして、なにも言えなくなっちゃうよ。
「なぁ、聞いてる?」
「う、ん」
聞いてる。
でも、なにも言えない。どう言えばいいのか、わからない。
「まただんまり? 俺、亜子がなに考えてんのか全然わかんねーよ」
私はもう、きみに落ちてる。どうしようもないくらいに。だけどね、勇気がない。
どこか傷ついたような表情を浮かべる草太。そんな顔をさせたいわけじゃないのに、言葉が出てこない。
太陽の時はなりふり構わずに言えたのに、どうしてだろう。
どうすればいいのかわからなくて、へんな空気が漂う。
きっともう、呆れてるよね。私といて、疲れたって思われたかもしれない。
「草太君!」
朱里ちゃんは走ってきて草太の隣に並んだ。
「バイバイ! 亜子ちゃんも」
かわいく笑って手を振る朱里ちゃん。