俺がきみの一番になる。
まるで私だけが世界に取り残されているような感覚。別れてもうすぐ一年が経つというのに、まだちゃんとできない。
「なんだ、亜子かよ。大丈夫か?」
太陽はまるで何事もなかったかのように、私に笑いかけてくる。人懐っこくて、いつも笑顔で、太陽は昔からそういう奴だ。
別れた当初はぎこちなかったけど、今ではすっかり普通に戻った。私と会って気まずいとか思わないらしい。
そりゃそうか、私だけがまだこんなにも意識している。太陽はきっと、そのことにすら気づいていない。
普通にしなくちゃ、普通に。私がまだ意識しているなんて思われたくない。
「相変わらずぼやっとしてんのな」
太陽は私と目を合わせるように屈んで顔を覗き込んでくる。その顔には満面の笑み。お日様みたいに明るくて、眩しい笑顔。
太陽の笑顔は、いつも私の心を明るく前向きにしてくれた。その笑顔が……好きだった。大好きだった。
でも今は、その笑顔を見てもツライだけだよ。
「ぼやっとなんてしてないよ。太陽こそ、不注意に飛び出してくる癖、直ってないよね」
太陽の目を見て、私は笑った。ツラい時に笑うことで、元気になれる気がする。