俺がきみの一番になる。
身体全体がガクガクして、ただ目を堅く閉じることしかできない。
「うわ! なんだ、こいつ」
「離せよ!」
「このっ!」
ドカッという鈍い音や、ガシャンという大きな音、男たちの怒声。
なにがなんだかわけがわからない。
「調子に乗ってんじゃねーよ!」
「ふざけやがって、こいつ。うぐっ」
——ドスッ
——ドンッ
「うおっ。ぐっ」
「ううっ」
本田君……?
誰のものかもわからないうめき声を不思議に思い、指の隙間からおそるおそる様子をうかがう。
すると、そこにはさっきまで五人いたはずの男たちが一人を除いて全員地面に伏せている。
身体をくの字に折り曲げて、足やお腹を押さえながら悶えている男たち。
本田君は後ろ姿だけだけど、どうやら無事らしい。
いったい、なにがどうなってるの?
本田君がやったの?
「こ、この……」
最後の男が本田君めがけて飛びかかった。でも、本田君はそれをスルリと交わして相手の腕を掴む。
そして自分の胸元に引き寄せると、相手に背中を向け、見事な一本背負いをして投げ飛ばした。
「うわー!」
派手に飛んでいく男。
あっという間の出来事に、呆然とすることしかできない。