俺がきみの一番になる。
なにがどうなっているんだろうと、目の前の光景を疑う。だって、五人もいたんだよ?
本田君は学校にいる時とはちがって殺気立ったオーラを放っており、背筋がゾクッとした。
本田君なのに、本田君じゃない。
まるで別人が憑依したみたい。
周りの男たちをグルリと見渡す。
そして誰も立ち上がってこないことを確認してから、ゆっくりと私に近づいてきた。
「大丈夫?」
「え、あ……」
本田君が目の前までやってきて、しゃがみこんで私の顔を覗く。眉を下げて、私のことを心から心配してくれている様子。
よかった、いつもの本田君だ。さっきまでのすごいオーラは微塵も感じない。
「亜子は大丈夫だよ。それより、本田君は?」
「俺? 全然余裕」
なんて言ってはにかみながら、ガッツポーズをしてみせる本田君。
「で、でも、ケガとかしてない?」
オロオロとしてしまう私。
「亜子、怖くて。夢中で助けを求めちゃったから……ごめんね」
「なんで謝んの? 目の前で困ってる人がいたら、誰だろうと助けるのは当然のことだよ。それが柳内さんなら、なおさら」
「あり、がとう。ほんと、怖かった……本田君がいてくれなかったら、今頃どうなっていたか」
それを考えたらぞっとする。