俺がきみの一番になる。

階段からゆっくり降りてきたその人は、ランチバッグを手にして小説を胸に抱えている。腰まで伸びたストレートの黒髪は、とてもサラサラしていて。眉の上でパッツンに切りそろえられた前髪が印象的。

目がパッチリしていて鼻も高くて、とても綺麗な顔立ちをしてる彼女。派手ではなく制服をきちんと着こなしているクールビューティーさも持ち合わせている。全体的に華奢で、背が高いからスタイルもバツグン。

彼女は同じクラスの南野 咲希(なんの さき)ちゃん。南野さんは教室では一人で小説を読んでいることが多く、必要以上にクラスメイトと仲良くしている姿を見たことがない。

いつも一人で静かに過ごしているタイプ。

人嫌いというわけではなく、一人が好きなタイプに見える。

だから南野さんに声をかけられて、ちょっとビックリしたっていうのが私の本音。

「は? なに、いきなり。関係ないでしょ」

沢井さんは今度は南野さんを思いっきり睨んだ。

「理不尽なこと言ってるから、放っておけなくて。だって、誰と仲良くしようと本人の勝手でしょ? あなたがとやかく言うことじゃないと思う」

一切ひるむことなく、南野さんは堂々と正論を言い放った。ここまではっきりきっぱり言うことは、私にはできない。

「部外者は黙っててよね! 柳内さんって、相当な男好きらしいし。草太には手を出さないで。それに、来週は大事な試合も控えてるの。部活も必死にやってるの。草太はあんたのことに構ってる暇なんてないの。だから、邪魔しないで」

「亜子はべつにそんなつもりじゃ……」

「それ! そうやって自分のことを名前で呼ぶところがウザいの! かわいいとか思ってんの? イタイだけだからっ!」

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