俺がきみの一番になる。

南野さんはなにか言いたそうにしていたけど、しばらく考えこむそぶりを見せたあと納得したのかそれ以上は言ってこなかった。

お弁当を終えると、次は音楽室への移動教室なので、準備をして立ち上がる。幸い、音楽の教科書は後ろの鍵つきロッカーに入れていたのでなくなってはいない。

廊下を歩いていると、ひしひしと突き刺さるような視線を感じた。踊り場にはたくさんの人がいて、その中の六人ほどの女子の集団がこっちを見ていた。

蔑むような冷たい瞳。その中には沢井さんもいて、私のことを思いっきり睨んでいる。

「マジでうざー」

「顔見せんなよ、ブース」

「ぷっ、スリッパとか! ウケる!」

「顔見るだけで気分が悪くなるよね。学校くんなって感じ」

「あはは、言えてるー! 来ても男漁ってるだけだもんね」

ドクドクとへんに高鳴る鼓動。背筋にヒヤッとしたものが流れ落ちた。

辺りはざわざわしているのに、その声は鮮明に聞こえてきた。彼女たちは明らかに私のことを言っている。こっちを見てるし、スリッパだし。

「今すぐこっから消えてよね」

沢井さんの心ない声に、心臓がギュッとギューッと押し潰されそうになる。キリキリ痛んで、苦しくて。

早くここから逃げたい。

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