俺がきみの一番になる。
恥ずかしいよ。それに……上から沢井さんに見られているのかと思うと怖くてたまらない。
身をよじって体を離し、本田君の胸を押し返す。そうすると、本田君の体はすぐに離れた。
「亜子は大丈夫だから。それより、本田君は?」
視界がひらけて、視線の先には地面の上に転がるシャーペンや消しゴム。さらにはハサミやカッターナイフ、コンパスまで落ちていて、すべて刃がむき出しになっている。
こんなものが上から落ちてきたの?
もし、カッターの刃やコンパスの針が頭や顔にでも命中していたら……。
そう思うと怖くてたまらなくなった。それと同時に、そこまで恨まれているのかとショックを受ける。
本田君まで巻きこんでしまうなんて。
「なんでこんなもんが上から落ちてくんの?」
同じように地面に落ちているものを見て、本田君がつぶやく。校舎を見上げているけれど、
「さ、さぁ……誰かがまちがって落としたのかな?」
苦し紛れの言い訳。こんなの誰もまちがえて落とすはずがない。
「いやいや、真面目に聞いてんだけど」
さすがの本田君も私の言い訳に呆れている。
「故意にやられたんじゃねーの?」
「故意にって……そんなわけないじゃん」
どうやらさっきの会話は本田君の耳には入っていなかったらしく、沢井さんたちのしわざだということには気づいていないようだ。