俺がきみの一番になる。

もうなにもかも全部が嫌だ。どうして私がこんな目に遭うの。傷つかなきゃいけないの。沢井さんはいったい、なにを考えてるの。どうしたいの?

私をイジメて楽しい……?

屋上のドアの前までくると、私は背を預けてそこに座りこんだ。心臓がドクドクいってる。暑くて汗が額に浮かんでいた。

八方塞がりでどうすることもできない。自分がどうしたいのかさえも、わからない。

校舎の中はひとけがなくてシーンとしていた。そんな中で目を閉じると、いくらか呼吸が落ち着いてきた。だけど心臓はすごい速さで動いている。

もうなにも考えたくないのに、本田君のことが頭に浮かぶ。あそこまで言うことなかったかなって、言ったあとに後悔しても遅いのに。

私っていつもそう。後先考えずに思ったことを言ってしまう。特に本田君には、かなりズバズバ言ってる気がする。

でもさ……本田君が悪いんじゃん。

本田君には、ついついムキになってしまう。感情がむき出しになってしまう。きっとそれは、本田君自身が、私に本気でぶつかってくれているからだ。

だから、ついキツい口調になっちゃう。

本心を見透かされていそうで怖いから、正面から向き合うと逃げ出したくなる。

そんな私は……弱い人間だ。

それを認めてしまうと、もう立ち上がれないような気がして怖い。だから私は逃げることを選んだ。自分が無力で弱い奴だなんて認めたくない。

そう……認めたくないんだ。


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