俺がきみの一番になる。
私の前まできて、鋭く睨みつけてくる沢井さん。
「草太に告げ口して、あることないことあたしの悪口を吹きこんだんでしょ? あんた、ほんとウザい。っていうか、ムカつくんだけど」
心ない言葉が胸にグサッと刺さる。
「そんなことしてないけど? 亜子……沢井さんになにかした? どうしてここまでされなきゃいけないの?」
勇気を振り絞って、聞いてみた。
嫌いだからって言われたらそれ以上の理由はないんだろうけれど、それでもやっぱり納得できない。嫌いなら放っておいてくれればいい。関わらなければいい。
膝がガクガクした。喉がカラカラに渇いて、倒れそうになる。
「なんでって、嫌いだから。特にあんたみたいなぶりっ子は、この世で一番嫌い。今すぐあたしの目の前から消えてほしい。二度と顔も見たくない。とにかく存在が嫌なの」
ストレートな言葉がグリグリと胸をえぐる。息苦しくて、今すぐこの場所から逃げ出してしまいたい。
でも、ここで逃げちゃいけない。
「亜子だって、人を傷つけて楽しんでる人が一番嫌いだよ。こうやって向かい合ってることも嫌だし、話したくないとさえ思ってる。お願いだから、こんなことはもうやめて? 沢井さんだって、昔はイジメられてたんでしょ? だったら、気持ちがわかるよね? それなのに、なんでこんなことができるの……?」
わからないよ、沢井さんのことが。
「なんであんたに指図されなきゃいけないわけ? 言ったよね? 草太に近づくなって」
さらに冷ややかに私を見下ろすその瞳。沢井さんの表情はまるで仮面のよう。