ボクは初恋をまだ、知らない。
「ピンクの中で1番、良かったのに。」

抜けた女性が残念そうに呟いた言葉を拾った、倉橋さんが彼女に何か声を掛けていた。

何を話してるかは聞こえないけど、しばらくするとそのお客様は笑顔を取り戻し、他のドレスをまた見始めた。

「先生達の対応、心強いね。」

「そうだね。」

ボクのドレスは、シールはつけてもらっているものの、まだ試着はされていない。

「すいません試着お願いしますー!」

そんなセリフに反応して振り向いたが、
カンナちゃんのドレスの要望だった。

まずい……非常にまずい気がする。

いつの間にかもう、1時間経っている。

それから何度かボクのドレスを見てくれるお客様は居たものの、何故か試着にありつかない。

見てくれるお客様に、こちらから試着を勧めてみても…何故か。。。

「なんでなんだぁ〜…。」

自分の不甲斐なさに悲しくなって、
肩を落としていると、後ろに人の気配がした。

「月村さん、まだ試着されてないの?」

「おぉ…七瀬さん。」

彼女の顔は少し疲れているように見えた。
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