ボクは初恋をまだ、知らない。
盛り上がっていると、
会場の入口に1番近いエレガントブースで女性客達が何やら争う声が聞こえてきた。

「私が!!」
「いえ私が1番似合ってたわ!!」
「私にも試着させてよ!!」

しとやかにドレスを見ていたはずの6人の女性達が、バーゲンセールで争うかのように、ある1着のドレスを取り合いしていたのだ。

その争いの向こう側に、
困った顔で対策を考えている七瀬さんが見えた。

「凄いね、七瀬さんのドレス取り合ってる…」

「モデルの名がついてるからね。
七瀬さん、好成績残しそう…。」

女性受けする上品なベビーピンクのドレスがチラチラと見える。
遠くからでも分かる位に、七瀬さんのドレスにはオーラを感じた。

その時、浅村先生が女性達の間に割って入った。

「お客様方、ファッション審査をしませんか?」

「え?」「それは何かしら?」

浅村先生は紳士的な立ち振る舞いを見せ言う。

「皆様の試着姿をカメラにおさめ、
1番このドレスに相応しいお客様を製作者の七瀬さんと我々教師で選考する…という審査です。」

「まぁ…それは面倒だから私は辞退しますわ。」

一人の女性が抜けたが、後の5人は真剣にそのまま浅村先生の話の続きを聞いていた。

七瀬さんは先生の対応が入ってホッとしているようだった。
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