ボクは初恋をまだ、知らない。
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太陽先生を好きなんだと
自覚してから数日が過ぎた。

あれから何かと授業中、
太陽先生を見つめる時間が増えてる気がする。

「ツッキー!」

隣の席のるなの声で、我にかえった。

「それ、何描いてるの…??」

「え??」

気づいたらボクのキャンパスが、

すっかりバーミリオンカラーで
埋め尽くされていた。

それも何を描く訳でもなく、
筆をひたすら走らせて絵にすらなっていない。

これが"恋煩い"なるものなのか…??

「月村、何を描いたんだ?」

見回って歩いてた太陽先生が
こちらに向かってきて、

慌ててキャンパスを閉じた。

「見せませんよ!!!」

ムキになって言うと、
不思議そうな顔をした後フッと笑った。

「……仕上がりが楽しみだな。」

そう小声で言うと、また教卓の方へ戻って行った。

「ふふふ…」

隣を見ると、るなが口を手で押さえて笑ってる。

恥ずかしくてボクは、

バーミリオンで埋まったページを破った。

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