クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ジッとしてて。全く、何かあったら呼んでって言ったのに」
早凪くんは、そう私に耳打ちすると、再びみんなの前に顔を向けた。
「ゆるに文句ある人は、俺を通して」
「……っ、」
早凪くんがあんまりはっきりというから、少し恥ずかしいのと同時に、嬉しくなる。
クラスメイトからも「宇垣くんが言うなら……」とポツリポツリそんな声が聞こえて。
私の匂いが気に入ったとか、わけのわからないことは言うけれど、私がメイドとして働いていることに、彼は興味がないんじゃないと思っていたから。
「ん、ゆる行くよ」
「えっ、ちょっ」
突然、早凪くんは私の腕を掴んで引っ張った。
細身で色白の早凪くんからは少し意外と思っちゃうぐらい、ちゃんと力が強くて男の子で。
立ち止まる余裕なんてないまま、私は早凪くんに掴まれたまま、一緒に教室を後にした。