クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。





フワッと、優しい柑橘系の匂いに包まれるような感覚に、今までの身体の重さが嘘のように軽くなって。


ずっと包まれていたい。


そんな風に思っていると、「ゆる」と穏やかに私を呼ぶ声がして。


自分の中の、焦りとか不安が、徐々に溶けていく。


ギュッと手を握られた感触で、うっすらと瞼が開いた。


……夢、見てた?


ぼやけて見えていた視界のピントがだんだんと合っていき、年季の入った木目調の天井を見つめる。


ギュッ


ん??


夢と同じ、手を握られる感触がしてチラッと手の方に目を向ける。


「……へっ!」


びっくりして、思わず小声で声を上げる。


だって、そこには……。


私の手を握りしめてベッドに上半身を預けてスヤスヤ寝ている早凪くんがいるではありませんか。


初めて彼を見たあの日と同じ寝顔なはずだけど、心なしか、彼の表情は以前に比べて柔らかくなってる気がする。


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