クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。





「ゆるちゃ〜ん!帰ろー?」


放課後、帰り支度をしていると、教室のドアの方から私を呼ぶ声がして、顔を上げる。


「あっ、翼くん」


目線の先には、ニコニコと楽しそうに笑顔を振りまきながらこちらに手を振ってる翼くんの姿。


みんなに、特別寮のメイドをしていることが公になってからは、翼くんと、調子がいい時は早凪くんも、私をこうして迎えに来るのが日課になっていた。


今日は、早凪くんがいないけど。


普段だって、彼がいないことはよくあることだったのに、今日は特に胸がざわつく。


「早凪、午前中まで学校にいたんだけどね〜。午後は莉々ちゃんに呼ばれて帰っちゃった」


『莉々ちゃん』
その名前に、さらに胃がムカムカしてしまう。


呼ばれたら帰るような仲なんだ、なんて。


だいたい、いとこにあんなにベタベタするのって普通なのかな?


莉々ちゃんのこと何も知らないのに、嫌な風に考えちゃう自分にもムカついて。


こんなこと、あんまり思うタイプじゃないのに。
ほんと、どうしちゃったんだろう。


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