クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「あれ?ゆるちゃん、メイドなのにみんなと一緒に食べるのー?」
「……っ、」
莉々ちゃんの声に、フォークを持つ手が止まった。
「俺が決めたことだから。ゆるは俺たちとご飯食べるって、ね」
「……」
すぐに早凪くんが間に入ってそう言ってくれたけど、莉々ちゃんにあんまり優しい口調で言うもんだから、
何故だかイラッとしてしまって、目を合わせないまま頷いた。
「へ〜みんな優しいね。莉々んとこのメイドさんが同じことしてたらびっくりしちゃうよ〜」
明らかに嫌味たっぷりのその言い方。
痛いほど感じていることを、ストレートにぶつけてくる莉々ちゃんに何も言い返すことができない。
この寮での私への扱いは、きっと普通じゃない。
そんなこと、わかっていたけれど……。
それが嬉しくて、学校も仕事も頑張ろうって思てたのに。
「この席だって、莉々が遊びに来た時に莉々が座る特等席なんだよ?ゆるちゃんに座らせてたって早凪どういうこと?」
「別に莉々専用なんて誰も決めてないよ」
早凪くんは淡々とそういいながら、パスタをフォークでクルクル巻く。