クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ぷー、何その言い方〜。とにかく、早凪はずっと莉々の王子様だから、取らないでよね?」
「……っ、と、取らないよ、取るわけない」
絞り出した私の声に、莉々ちゃんは満足げに「うん!ゆるちゃんが分かる子でよかった!」なんて言って笑った。
早く……この場から離れたい。
4人が莉々ちゃん中心の会話で盛り上がる中、私はササッとご飯を食べ終わり、自分の食器だけを持って厨房へと向かった。
私が席を立った時、「ゆるちゃん」と翼くんが気にかけてくれる声がしたけど、聞こえないふりをして。
「あれ、ゆるちゃん早いね」
「あっ……」
厨房で休憩していた明人さんが、不思議そうに私を見る。
それもそうだ。
いつもはみんなとおしゃべりしてて、慌てて片付けることばかりだから。