クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「莉々ちゃんに、何か言われた?」
「へっ……あっ、いや……」
私が口ごもっていると、明人さんは厨房の端にあった丸椅子を自分の座っていた椅子の前に持ってきて、私に座るように促す。
お決まりの、おやつも用意して。
「頑張るって決めたはずなのに、ほんとダメですよね。すぐ弱気になっちゃって」
「いや、わかるよ」
優しくそう共感してくれる明人さんの声があったかくて、心の中のモヤモヤやイライラが少しずつ落ち着いていく。
「3人に受け入れてもらっても、やっぱり、はたから見たら私の立場っておかしいよなって。関わっちゃいけないよなって思っちゃって」
「そっか。でも、円ちゃんの時もそれは同じだったよね?今、円ちゃんとはどう?」
「えっ、あっ、りょ、良好、だと思います」
「うん。そうだよね。きっと、莉々ちゃんともしっかり向き合えば、分かり合えると思うよ」
「んー……」
なんなんだろう、この引っかかり。
円の時とは、何かが違う気がして。
「あとは、ゆるちゃんの感情は、別のものかもね」
「えっ……別の、もの?」
明人さんは、それ以上言うことはしないで何やら嬉しそうに頷いただけだった。