クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
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あれから数日が経ってあっという間に夏休みがきた。
莉々ちゃんは8月の中旬まで特別寮にいるらしくて、正直、もうヘトヘトだ。
ザお嬢様育ちの彼女は、本当にわがままで。
私が期待に応えられないでいるとすぐに「前のメイドさんはしてくれたわよ?」なんて言ってくるもんだから。
早凪くんも、何度か私に話しかけようとしてくれるけど、基本、早凪くんのそばには莉々ちゃんがべったりひっついて離れないし。
監視されてるような日々が苦しい。
「ねぇーお願い!早凪も一緒に入ろうよー!」
「……無理。昨日も莉々の相手して俺もう体力残ってないんだけど」
「うぅ〜そんなこと言わないでよ〜!浸かるだけでいいから〜!せっかく早凪に見せるために翼くんから水着もらったのにー!」
畳んだ洗濯物をみんなの部屋に片付けて階段を降りていると、一階の中庭から早凪くんと莉々ちゃんの声がして、思わず壁の死角に立って聞き耳をたてる。