クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
これ以上聞いていたら、またフツフツと負の感情が押し寄せてきそうで、私はふたりから目をそらして、洗濯カゴを片付けにランドリールームへと向かう。
莉々ちゃんにあんなに可愛くねだられちゃ、めんどくさいことが嫌いそうな早凪くんだって、一緒に入るんだろうな。
そんなことを思って勝手にモヤッとしていると、エプロンのポケットに入れていたスマホがブルブルと震えた。
「えっ……円?」
ポケットからスマホを取り出して画面を確認すると、そこには【円】の表示。
すぐに通話ボタンを押して、スマホを耳に当てる。
「も、もしもし……」
『あ、出た。ゆる仕事は?』
「えっ、あぁ、今洗濯物が終わったから夕飯までは特にないかな」
円に仕事のことをサラッと聞かれたのが、少し前なら考えられないことで、変な感じ。
『おっ、だったら今からカフェに行かない?とっておきのところがあるから連れて行きたいんだ。学校の門で待ち合わせは?それとも用事あるかな?』
カ、カフェ……。
しかもこのタイミング……。
家に居たくないと思っていたところ。
「ううん!暇!嬉しい!絶対行く!」
円に元気にそう返事をして、時間を決めてから早速準備を始めた。