クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「わぁ〜おしゃれな店……」
「この辺りで一番美味しいパンケーキ屋さんなの」
円と合流して、円が用意してくれた高級車に乗り込んで10分して車から降りると、
一瞬、美術館かと思ってしまうような建物が目の前に立っていて、思わず口をあんぐりさせてしまう。
これがカフェというんだからさらに驚きだ。
こんなところ、私みたいな庶民が足を踏み入れてもいいのか。
「さ、行きましょ」
慣れたように店内に入っていく円の背中を慌てて追いかける。
入り口がもうキラキラしてて、まるで、宝石箱の中に飛び込んだみたい。
あっ、お金っ!
こんなすごいところに連れて来られるなんて思ってなくて、慌てたショルダーバッグの中を確認する。
一体、一品でいくらぐらいなんだろうか……。
「私が誘ったんだからいらないこと考えるのやめなさいね。ゆるみたいな庶民が払える額じゃないし」
円がそう言ってこっちを振り返る。
「えっ!そ、そんな!でも……」
「でもじゃない」
円はピシッと私にそういうと、再び振り返って店員さんに案内される。