クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


円に「早く食べないと私が全部食べちゃうよ」なんて言われて、慌ててフォークとナイフを持って、わたしもパンケーキを一口運んだ。


「……っ!!」


な、なにこれ?!


今まで食べてきたどんなスイーツよりも、フッワフワで、口の中で溶けてなくなっちゃう感覚。


生地自体は甘さ控えめだけど、一緒に食べたフルーツの爽やかな酸味やカスタードクリームの甘さが絶妙にマッチして。


『なんて幸せなんだ』


と、笑みがこぼれちゃう。



「すごい……すっっごくおいひい……」



「……よかった、ゆるやっと笑った」



「えっ……」


ホッとしたように胸をなでおろして、こちらを見ながら微笑む円。


よかったって……。


「えっ……って。ゆるわかりやすいんだからね?」


「嘘……」


「嘘じゃないわ。なんか悩んでるんだったら、聞くよ。あんなことした私が、こんなこと言っていい立場じゃないことはわかってる、けど……ゆるが笑ってないと……つまんない」


円は目をそらしながらそういうけど、その顔がほんのり桜色に染まっていて可愛い。


円、ずっと気にしてくれてたんだ。

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