クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
円は、「今までに誰にも話したことないし、ほんとゆるだけなんだからね?」と顔を赤く染めながら、話し出した。
「私、小4の頃に星音の付属小学校に転入したの。何もかもど緊張で不安でいっぱいで。その時、席が隣だったのが宇垣くんで。最初は、私が挨拶しても特に無表情で窓の外見てる子だったから、怖いなって印象だったんだけど……」
円の恋の話。
聞いてる私のほうもなんだかドキドキして、胸がキュンとなる。
「その日、転入初日で教科書を忘れてしまって。今思えば普通に先生に言えばよかったんだけど。当時の私は『転入初日で忘れ物するような子だって印象を与えたらみんなになんて思われるか』ってことで頭がいっぱいで。そんな時に、隣の宇垣くんが、教科書貸してくれたんだ。『俺どうせ寝るから』って言って」
「優しい……」
「でしょ?それからも高校になってもクラスはずっと一緒だったし、ああもしかしたら運命なのかもって考えることもあった。だけど、宇垣くんとちゃんとしゃべったことなんてなくて。全然進展しないまま、今まで」
「……そう、だったんだ」