クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


私、すごく好きじゃん、早凪くんのこと。


離さなくなって、誰かのものになるかもしれないって思って、やっとこんな風に気付くなんて。


自覚した瞬間、早凪くんへの気持ちがどんどん大きくなって。


今まで蓋をしてた分が、溢れてくるみたいに。


また、触れてほしい、なんて。


────コンコンッ


っ?!


突然、VIPルームのドアがノックされた音がして、私は横になっていたソファから勢いよく立ち上がる。


ウィンとドアの開く音がする。


嘘……。


「早凪……くん……?」


目の前には、少し不機嫌な顔をした早凪くんが立っていて、ズンズンとこちらに近寄ってくるではありませんか。


誰にも何も言わないで寮から出てきたのに……。


「どうして……」


「どうしてはこっちのセリフ。寮のどこ探してもいないから、すごい心配した」


『心配した』なんて言われて不覚にもキュンとして。


きっと、相手が莉々ちゃんでも早凪くんはおんなじことを言う。


いやきっと、莉々ちゃんのほうが心配するかも、なんてまたひねくれたことを思って。


< 247 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop