クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
私、すごく好きじゃん、早凪くんのこと。
離さなくなって、誰かのものになるかもしれないって思って、やっとこんな風に気付くなんて。
自覚した瞬間、早凪くんへの気持ちがどんどん大きくなって。
今まで蓋をしてた分が、溢れてくるみたいに。
また、触れてほしい、なんて。
────コンコンッ
っ?!
突然、VIPルームのドアがノックされた音がして、私は横になっていたソファから勢いよく立ち上がる。
ウィンとドアの開く音がする。
嘘……。
「早凪……くん……?」
目の前には、少し不機嫌な顔をした早凪くんが立っていて、ズンズンとこちらに近寄ってくるではありませんか。
誰にも何も言わないで寮から出てきたのに……。
「どうして……」
「どうしてはこっちのセリフ。寮のどこ探してもいないから、すごい心配した」
『心配した』なんて言われて不覚にもキュンとして。
きっと、相手が莉々ちゃんでも早凪くんはおんなじことを言う。
いやきっと、莉々ちゃんのほうが心配するかも、なんてまたひねくれたことを思って。