クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「よかった、見つかって」
っ?!
早凪くんは私の身体をグイッと引き寄せると、そのまま抱きしめて、私の耳元でそう呟いた。
私のこと、全然意識していないからこんなこと簡単にできちゃうんだろうな。
私は、早凪くんに触れられるたびいつだって普通じゃいられないのに。
「帰ろう。最近ゆる不足で死にそう」
「……っ、」
またそんなこと言って、最近ずっと莉々ちゃんと一緒にいるくせに。
私のことなんて、メイドでただの抱き枕、都合のいい女ぐらいにしか思っていないに決まってる。
それなのに、こんな時に駆けつけてきたり、思わせぶりなことを言ったり、そういうのずるいよ。
「……早凪くんには莉々ちゃんがいるじゃない」
我慢できずに、そう口に出していた。
「なにそれ」
「こんな風にだれかれ構わず触るの、早凪くんの悪いところだよ」
莉々ちゃんに触れた手で、私に触れないでほしい、なんて。
好きだって自覚すればするほど、我儘になる。