クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「それで……なんで、ここに?」
学校から出て、早凪くんに手を掴まれたまま連れてこられたのは、寮の中庭。
今日の昼、早凪くんと莉々ちゃんが話してたところだ。
月明かりと、中庭のいくつかある小さな照明がプールの水を照らしていて、キラキラしている。
「あっ、」
早凪くんは、私の質問に答える代わりに、手を離してからプールへと近づいた。
「さ、早凪くん?」
プールの水面をジッと見てる早凪くんの背中に恐る恐る声をかける。
何か、見つけたんだろうか。
そう思って、一歩だけ前に進んだ瞬間だった。
─────バッシャーーーンッッ
っ?!
「さ、早凪くん?!」
勢いよく水しぶきが飛んだかと思うと、泡になったプールの水がパチパチ音を立てて。
目の前にいたはずの早凪くんが消えていた。
「嘘……さ、早凪?!」
落ちたの?
今、早凪くん、プールに落ちたの?