クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。





「それで……なんで、ここに?」


学校から出て、早凪くんに手を掴まれたまま連れてこられたのは、寮の中庭。


今日の昼、早凪くんと莉々ちゃんが話してたところだ。


月明かりと、中庭のいくつかある小さな照明がプールの水を照らしていて、キラキラしている。


「あっ、」


早凪くんは、私の質問に答える代わりに、手を離してからプールへと近づいた。


「さ、早凪くん?」


プールの水面をジッと見てる早凪くんの背中に恐る恐る声をかける。



何か、見つけたんだろうか。


そう思って、一歩だけ前に進んだ瞬間だった。



─────バッシャーーーンッッ


っ?!



「さ、早凪くん?!」


勢いよく水しぶきが飛んだかと思うと、泡になったプールの水がパチパチ音を立てて。


目の前にいたはずの早凪くんが消えていた。


「嘘……さ、早凪?!」


落ちたの?


今、早凪くん、プールに落ちたの?


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