クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「早凪くんっ!」
最悪な事態を考えてしまって、すごく怖くなって。
私は急いでプールのはしごの方へと向かい、プールを降りる。
幸い、プールの深さは私も届く範囲で水の高さは私の胸あたり。
探さなきゃっ!
泳ぐのにすこぶる自信があるわけではないけれど、そんなこと言ってられなくて。
はしごから手を離して、早凪くんの元へと進もうと足を一歩前に出した瞬間。
────バシャン
「ゆる、チョロすぎ」
「……っ?!」
目の前に現れた彼に、驚いて固まってしまう。
「ひ、ひどいよ!本気で心配したんだからね!」
彼が無事だったことへの安堵と、彼のひどい悪ふざけへの苛立ち、両方で、目頭が熱くなる。
「だって、ゆるこうでもしてくれないとこっちきてくれないでしょ」
「だからって、こんなの悪ふざけの域超えてる!」
もしものことがあったら、そう頭によぎった時ものすごく怖かった私の気持ちなんて、早凪くんにとってはなんでもないことなんだろうか。