クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
「え、ちょっと待って……なんで……」
「ごめんね、門枝さん。いきなりで。莉々がどうしても一緒に行きたいって言うから、着付けお願いしてもいいかな?」
と早凪くん。
あれから数日経ち、やってきた花火大会の日。
特別寮の3人も浴衣を着るようで、寮で翼くんが着付けをすることになった。
私と円は円の家で浴衣に着替えて、大会会場で合流、となっていたはずなんだけど……。
円が翼くんから浴衣を受け取り、2人で円の家に向かおうと玄関で靴を履いてると、
莉々ちゃんが、何事かと部屋から出てきてしまい自分も行きたいと騒ぎ出してしまったのだ。
「悪いけど、浴衣、2つしかないから……」
事情を知っている円は、きっぱりとそういう。
せっかく、今日だけは、莉々ちゃん抜きで楽しめるかもって思っていたのに。
そう思っている私は、明らかに嫌な女なのはわかっているのだけど。
でも、せっかくの花火大会なのに、これじゃ莉々ちゃんにまた振り回されるのが目に見えてしまう。