クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「ほんっと腹立つ女!」
「まぁ、円さんの気持ちも分からなくもないですよ。莉々かわいいんで、周りの男の子たちがみんな莉々に注目しちゃいますもんね」
クククッと笑いながら話す莉々ちゃん。
なんで、怒らせるってわかっててここまでこんなことを言うんだろう。
「莉々ちゃん」
『もうやめて』
そういう意味を込めて、名前を呼ぶ。
少し、強く。
「ゆるだって、莉々のこと嫌いでしょ?バレバレ。早凪はあんなこと言ってたけど、そんなの嘘」
『早凪はあんなこと言ってたけど』
莉々ちゃんのセリフに少し引っかかりを感じる。
「そんなの当たり前でしょ?!あんたのその性格!不快にならない人がいるっていうの?!」
代わりに円が声を出した。
「……っ、うるさい」
「……莉々ちゃん?」
ボソッとつぶやいた莉々ちゃんの声は、ほんの少し一瞬だけど寂しそうに聞こえて。
「何にも知らないくせに、うるさいっ!」
「はぁ?!逆ギレ?!もう知らない。一人で着付けなさいよ!!」
円は「いこ、隣の部屋でやる」と私の手を引っ張ってから、莉々ちゃんを部屋に一人残した。