クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「わぁ〜!すご〜い!射的だって〜!」


甘さを醸し出すような莉々ちゃんの声が聞こえて、顔を上げると、射的屋さんに夢中の莉々ちゃんがお店を覗いていた。


その横には、お店の人と話す早凪くん。


足を止めて、少し離れたところから浴衣姿のふたりを眺めると、さらに感じてしまう。


“お似合い”


かっこよくて可愛くて、お金持ちのふたり。


そりゃ、将来ふたりがどうなるのか目に見えてわかってしまう。


「莉々、あれが欲しい!うさぎちゃんの指人形!」


「……無理でしょ、もっと当たる面積が大きいものが……」


「え〜早凪ならできるよ〜!!当たらなくても、早凪の射的姿が見たい!」


はじまった……。


なんて、心の中でため息をつく。


円も、瑛斗さんに半ば強引に射的コーナーに連れていかれて、瑛斗さんに銃の持ち方なんかを教えてもらっていた。


あの瑛斗さんのことだから、すごく密着しながら円に教えているけれど、それがまたさまになるからすごいもんだ。


はじめは嫌そうだった円も狙いの景品を決めると、その眼差しは真剣そのもの。


完全にどっちも、いい雰囲気が出来上がっている。


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